prisondiary’s blog

鬱病&クレプトマニアのボクが刑務所からの日記をお届けしています。

刑務所diary

はじめにーFORWORDー

 

 ボクは2020年頃まで、俳優・声優・ナレーターなどの仕事をしていた。大学時代にラジオDJ になり、そのままTV局などの内定を辞退してプロダクションに所属し、芸能活動をしていた。そんな俳優生活の中で、徐々に精神的に不安定になっていった。最初は不眠だった。仕事でのストレスに加えて、事務所を辞めてフリーランスになる過程での様々なパワハラや裏切りがかなり効いてしまったようだ。眠れなくなり、起きていても頭痛がして、視界が揺れたり、脱水症状っぽくなることが多くなった。次第に睡眠薬を飲まないと眠れなくなり、それでも起きてしまう夜はお酒を飲んで眠ったりしていた。仕事のストレスだけではなく、プライベートでの不幸も重なり、心の乱れはどんどん大きくなって、2020年のコロナ禍でボクは一気に壊れていったように思う。夜、全く眠れずに体調がおかしくなって、頻繁に動悸が止まらなくなり、涙が流れてたりすることが続いた。「消えてなくなりたい」絶望的な気分の落ち込みもひどくなり、自分でもやばいと思うようになった。そんな絶望感を紛らわせるために、ボクはいつしか浴びるようにお酒を飲むようになった。不眠・飲酒・過食がひどくなり、「オレ、何のために生きているんだろう」みたいな虚無感がいつまでも頭から離れなくなった。ついに体調は最悪といっていいほど悪くなって、日によっては体が動かないし何もできない。倦怠感もひどくて、やっと起きると過食嘔吐を繰り返して、突然、悲しくなって泣いた。夜には泥酔していて記憶はない。気づけばまた朝が来ていて、絶望感とともにコンビニでパンとお酒を買ってまた飲んで食べて吐いた。

そんな時、事件を起こした。

2020年7月、ボクは窃盗罪で逮捕された。万引きだった。裁判で懲役2年、執行猶予3年となった。今から考えると初犯でかなり重すぎな判決だと思うが、当時のボクはそれほどおかしくなっていたように思う。それから半年ほどして、また万引きで捕まった。万引き後、店の外でボンヤリしている所を取り押さえられ、1ヶ月の留置後、保釈されてすぐに、またコンビニで万引きをして逮捕となった。留置所で面会した弁護士が言った「君はクレプトなんじゃないのかな?」初めて効いた言葉だった。『クレプトマニア』日本語では『窃盗病』。依存症のひとつで、ギャンブル依存症・性依存などと同じ“行為依存”の精神疾患だ。弁護士の勧めで、その道で有名な大学病院の精神科に入院し、病名が正式に診断された。「重度の“うつ病”、および“病的窃盗症”」。2021年10月、保釈されたボクは仕事を全て辞め、精神科での診断と、依存専門のクリニックでの定期的なデイケアを受けることになった。裁判では、うつ病と窃盗症からの行動として再度の執行猶予を争うことになった。入院、カウンセリング、グループミーティング、運動療法、薬物治療などを受けながらの裁判は1年続いた。

 しかし、2022年11月10日、ボクには実刑判決が下り、執行猶予取り消しも含め、計3年10ヶ月の懲役が課せられることとなった。弁護士からは「もし実刑判決でも、当日には保釈されるするようにするので安心して。」と言われて身一つで公判に行った。だが、保釈は叶わず、東京拘置所に移送され今に至っている。まさか、ボクが獄中に行くことになるとは思ってもいなっかった。

 すぐそこにあるけど、誰も本当のことは知らない塀の中。古くはオスカー・ワイルドの『獄中日』や、新しくはホリエモンの『刑務所なう』ではないが、これは外から見えない塀の中で一体何が起こっているのか?ムショでの暮らしとは?別世界の謎を、ボクが実体験しながら綴っていく日記となるだろう。

どんな刑務所ダイアリーとなるのか?当のボクも皆目分からない。でも、読んで頂ければ近くて遠い、冷たい壁の向こう側を分かってもらえるはずだ。

そしてこの日記は精神化の診断さえ受けられないボクの、ボク自身によるカウンセリングの記録であり、セラピーにもなると信じている。そう、ちょうどイギリス留学で精神を病んだ夏目漱石が『吾輩は猫である』を書くことが心の治療になっていったように。

 

願わくば、タイトルに謳ってしまっているので、どうか途中で挫折せず、毎日続けられますように。それからもうひとつ、1日でも早く、このダイアリーが終わりを迎えられますように。

                   2022年12月10日 東京拘置所にて

現代 刑務所の作法

参考文献

 

『現代 刑務所の作法』河合幹雄監修(株式会社G.B)

『刑務所の謎』知的発見!探検隊著 (イースト・プレス)

『完全ムショ暮らしマニュアル』北代司著(kkベストセラーズ)

『刑務所なう完全版』堀江貴文著(文春文庫)

 

刑務所の謎

誰も教えてくれない 完全ムショ暮らしマニュアル

 

 

平凡な日々の中で食事記録しか楽しみないIn 刑務所

 『12月5日(月)』26日目

 7時に起床し、9時50分に外運動でランニング30分。そして10時30から風呂!この流れ嬉しい!極寒の東拘ビル上の屋外運動場で、ランニングしてるとは言え冷え切った後の風呂は、体感的にはココでの最高のエクスタシーと言える。14時過ぎ、Mが面会に。ボクが出した手紙は2通届いてる様子。ボクと会えない期間、仕事を辞めてワーホリで2年くらい、オーストラリアに行こうと想ってると相談されて、オドロイタ。でもお互い、満足に会えないこの状況だからこそ出来ることもあるんだと思う。面会もなかなか出来なくなるのは淋しいゲド、「いいと思うよ」と答えた。それから、Mからの差し入れをもらう際、彼女が書いた指印を押すのだけれど、「関係欄」が「友人」となっていたことを突っ込んだら、笑ってた。そういえばボクは彼女にちゃんと告白もしていなかったんだ。改めて言った。「付き合ってください」彼女は「はい」と言ってくれた。

 

収監5週目

 『12月8日(木)』29日目

 親父からの差し入れで堀江貴文著『刑務所なう』が届く。ライブドア事件で2007年に逮捕され、長野刑務所で服役していた日々を綴った獄中日記だ。ボクが知らないこともたくさん書かれているけど、「あるある!」のオンパレード!それにホリエモンの文体が、過酷な状況でユーモアとウイットに溢れていて、元気づけられる。食事の記録なんかも詳細に記録されていて、さすがだな。ここ東拘では、ボクが最初にいたベットありの部屋があった棟の、ボクのひとつ上の階がホリエモンの部屋だったみたい。この本をちょっと倣って、食事メニューなどもちゃんと記していこうと思う。

 そんなワケで29日目の今日、朝食は麦飯・納豆・味噌汁。淋しいのでサバ味噌煮を米にかけて食べる。朝食後は願い事タイム。食料(お菓子)を買う。休む間もなく差し入れが届く。親父から書籍、『簿記入門』が届く。嬉しい。簿記の勉強もしたいのだけど、これで電卓が買えるかも?というのも、ここに来てすぐの「願箋」で、電卓購入をお願いしたら、「税理士としての仕事で必要とか、簿記の勉強で使用する為」など必要性がないとNGらしい。刑務官が「だから、なんか簿記の本でも差し入れてもらいなよ」とアドバイスしてくれたのだ。Aさんからも本の差し入れ。偶然にもその中にもホリエモンの本『やりきる力』があった。(笑)あと雑誌「ブルータス」。すごく嬉しいけど、みんな、もっとエッチな本とかも差し入れてくれていいんだよ!ハハハ〜。

 昼食はコッペパン・マーマレード・マーガリン・メンチカツ・ジョア。なんだこのメニューは。コッペパンを半分にして、1つにメンチカツを挟み、もう半分にジャムをつけて甘いしょっぱいを両方楽しむ。ジョアうまーい!

 13時すぎに親父が面会に来てくれた。着ていたスウェットなどを宅下げ。洗濯してもらい、また持って来て差し入れてもらうのだ。ここでは下着は洗濯してもらえるが、なぜかそれ以外は自分で何とかしなくてはならない。つまり、何日も着て臭くなったスウェットなどは外の家族や友人に「宅下げ」という、施設から外に渡す手続きをして、洗濯してもらわなくてはならない。これすごく面倒臭い。受刑者と同じように「官衣」というグリーンの囚人服を借りて着ることも可能なんだけど、ユニクロとかのトレーナーの方が明らかに肌触りも良いし、きっと確実に暖かい。せめて未決囚であるウチは

私服でいようと思う。親父とは今日はわりと穏やかに話せた。親父には1番迷惑をかけている。体、大事にして欲しい。

 夕食は、麦飯・トマト味のスープ・里芋の煮物・白インゲン甘煮。それにイワシ煮を追加して食べる。ここ数日、毎日面会に誰か来てくれて、みんなに支えられていることを実感する。先を思うと鬱になりそうだけど、ボクには待ってくれてる人がいる。ガンバらなきゃ。

 

 Prisonメモ📝

 拘置所刑務所内の未決&既決囚たちは、何か希望がある時はいちいち担当者にお伺いを立てる必要がある。このお願いの際に、「願箋(がんせん)」を使用する。刑務官に願いを書いて提出する用紙である。願箋は受理されるまでにある程度の時間を要する。

 

ルマンドを食べながら泣いた夜 In 刑務所

収監4週目

 『12月1日(木)』22日目

 12月になってしまった。時間の進み方が遅く感じ、それが精神的にもかなりツラいが、安定剤のおかげで夜眠れずに気が狂いそうなくらい思い悩む、ということからは逃れられている。21時から7時までの10時間だけでも何も考えなくて良いのは助かる。

 そういえば今月から、新聞が毎日読めるよう購読希望を出していた為、読売新聞が入った。何となく「コボちゃん」が読みたくて選んだけど、日経とかにすれば良かったかな?結構読み応えがあって、隅から隅まで読むには半日くらいかかりそう。そんなジックリ新聞なんて読んだことがなかったな。株式欄が気になるが全く分からない。 

 今日の体重は74.9kg。もっと運動したいが、なんか30分以上の外運動が平日なのにない日がある。土日にないのもツラい。法律では休日以外は1日30分以上の運動が定められている。まぁ、室内放送で9時45分と14時45分に15分ずつ、「体操しましょう」の放送がかかるワケだけど。でも国連決議では1日1時間以上の運動をするように定められている。日本が常任理事国入りしたいなら、こういうことからグローバルスタンダードするといいと思う。

 昼食後の暇な時間、Mからのお菓子の差し入れ!こういう出来事が、かなり気持ちを前向きにさせてくれる。ルマンドをボリボリ食べながら泣いた。手紙を書こう。

 

 『12月2日(金)』23日目

 朝イチで、「勾留更新」12/13日〜1ヶ月、と言われる。あまり意味が分からないが、このままの状態なのだろう。控訴中だし。昼食前にO弁護士が面会に。控訴をした時点で、法的には第一審の弁護士はボクの弁護士ではなくなり、新たに移送か国選かで「第二審用の」弁護士を決めなくてはならない。諸事情あって、O弁護士はココに面会に来るごとの課金制と言ってきた。ハイハイ。遠回しに「サヨナラ👋」と言われたわけだ。保釈されなかった為に困っていることを頼んでみたが、果たして動いてくれるのだろうか疑問だ。12月5日に、再度Mが来てくれるみたい。楽しみ。手紙は無事に届いているだろうか?

 

 📝Prisonメモ📝

 通常の刑事事件では、起訴と同時に2ヶ月間の勾留が自動的に付き、その後、1ヶ月ごとに検察官が勾留更新の手続きをする。勾留された被告人の多くは、裁判が終わるまで拘置所で生活をすることになる。

 

 『12月3日(土)』24日目

 休日モード。朝から寒く、ヒートテックを着込んでもまだ寒い。極寒。このまま暖房が入らないと思うと恐ろしい。運動を思うようにできないのがストレスとなっている。入所前、ボクは精神科のクリニックに通っていて、そこではうつ病や依存症のプログラムの中に、「運動療法」を取り入れていた。プロボクサーの資格を持つ先生もいて、ボクササイズを行っていた。かなりツラいし、やる前はホントに嫌なのだが、1時間思いっ切り汗をかき、サンドバックを叩くと、思いの外、スッキリとした。1日の運動が20分以下だと認知症リスクが3倍という報告もあるくらいだ運動不足は脳にも良くないのだ。

 差し入れの本「株は夢をかなえる道具」を読み始める。杉原杏璃さんという元グラビアアイドルの方が書いた本。ムショ内でも株ってできるのだろうか?

 

  『12月4日(日)』25日目

 25日目の日曜日。特に何も無い。お休みモード。未決囚のボクは平日も大してやる事はなく、ゴハンか休憩か睡眠か、といった具合なのだが、それでも平日は差し入れが入ったり、運動に出たり、風呂があったり、面会があったりとイベント事が巻き起こるわけだが、休日はそれもない。必然的に本を読んだり、書き物をする時間が長くなる。パソコンはおろか、スマホもテレビもない拘置所では(既決囚にはテレビあるらしい)ラジオと官本、私物の書籍のみが娯楽である。休日はこのラジオが平日より放送時間が多くなる。9時から45分ほど放送され、9時45分から室内体操放送が15分。10時からまたラジオが流れる。だけどこれ、1時間番組なのに10時30分になるとブチっと放送が終わってしまう。これが11時からもそう。たとえ2時間番組であっても11時30分にブチッ!日曜は音楽のカウントダウン番組が多いんだが、これが大切な上位曲を聴けずに終わる。という何ともモヤモヤする編成となっている。15時からも平日はTokyo FM の「THE TRAD」という音楽番組が流れるが、ボクには今だに最後まで聴いたことがない。

 今日は特にやることもないので、新しいノートに2026年10月までのカレンダーを書く。3年10ヶ月後までのカレンダー。ノートのページにすると結構少なくて、気分的にはやって良かった。

アクリル板越しに彼女Mと再会。

 『11月29(火)』 

 9時過ぎに、社会福祉士のYさんが初めて面会に来てくれる。裁判でも証人として証言してくれた恩人。色々とグチる。特に何かある訳じゃないけど、こうやってグチれることですら、貴重な瞬間なのだ。あ、そういえば、昨日の夜に西野七瀬が出てきた。なぜ?昨日の親父からの差し入れ食品がたくさん入ってきた。チョコパイ・サバ味噌・イワシ煮ナドナド。ありがたい。魚は官の食事ではあまり出ないので食べたい。DHAやEPAを採らないと脳みそが不安だ。生魚なんて、きっと3年以上、食べられないんだろうな。ちなみに生野菜も絶対出てこない。新鮮なサラダも、数年間おあづけだ。もちろんお酒も、焼肉も、大好きなジンギスカンも。禅寺に修行に来たと思えば、それよりはマシな食事が出ていると思う。殊に、警察の留置所に比べたら天国のような食事である。留置所では同室だったヤ○ザが、「拘置所はいいぞお」と言っていたが、食事的にも、居心地も全くもって同感だ。留置所は人間扱いされてない最悪な環境だった。まだ、それに比べれば....。刑務官の人たちも、とてもマイルドで、穏やかな人当たりな人が多いと感じる。留置所では頻繁に怒号や悲鳴が飛び交っていたが、ここではそんなことはなく、静かに過ごせてはいる。室内で40分ランニング、腹筋80回、腕立て30回、ストレッチ。

 

 📝Prisonメモ📝

 警察の留置場に対し、拘置所は「法務省」が管轄する。留置場では警察署には調理キッチンなどの設備がなく、仕出し弁当の食事が出される。ご飯は白米だが、調理から数時間経っており、冷え切っていてメニュー自体も炭水化物と練り物・揚げ物など、主にとりあえずカロリー計算だけはしているという内容。片や拘置所は調理場があり、料理は受刑者が刑務作業として行っている。つまり、食事時間前に手作りされたモノで、そのメニューも野菜なども考慮された温かい食事である。ただしお米は麦飯。このように非勾留者の食事は大きく異なる。

 

 『11月30日(火)』

 そういえば昨夜、夕飯後に室内でその場で足踏みランニング運動をしていたら、夜勤らしい刑務官に激怒されてしまった...。「運動の時間」とアナウンスされた時しか、体を動かしてはいけないらしい。気をつけないと懲罰になったらマズい。反省。というか、そういう「やっていい事・いけない事」の説明を受けておらず、よく分からない事が多くて戸惑ってしまう。ルールが書いてある冊子のようなモノは読んだが、そこに書かれていない事でも、NG項目は色々とあるようだ。ちょいちょい注意は受けてしまう。まぁ、言われたら学んで、それに従うように心掛けたいと思う。顔見知りになってきた馴染みの刑務官に迷惑をかけないようにしないと。

 10時30分、「面会」と舎房のドアが開けられる。誰かと思ったらMだった!Aさんが見つけ出して、連絡してくれたんだ!ようやくMが面会に来てくれた。来てくれないと思っていた。面会室9番に入る。何を話していいかわからない。でも3週間ぶりに会えて、嬉しい。彼女は話しながら泣いていた。ゴメン。「怒ってなんてないし、もう知ってたよ」と言ってくれた。ボクも泣いた。11枚の手紙はまだ届いてないみたい。手紙を出したこと、そこに全ての真実を書いた事を伝えた。彼女は「また来るね」とちょっと笑った。会えて本当によかった。Aさんが、ボクが伝えた彼女のマンションまで行き、彼女の家を訪れて、事情を説明してくれたらしい。面識もないのに、ありがたい....。心を許せる仲間に支えてもらっている幸せと、ボクのことを想ってくれる人がいる幸せを実感して、その人たちのためにもシッカリ前向きに、頑張って行こうと決意する。夜は来てくれたMへの3通目の手紙を書いた。明日、出そう。そんなボクの人生最悪の11月は、なんとか最高と思える出来事で幕を閉じられそうだ。今夜は西野七瀬ではなく、Mの夢が見られますように。

 

収監3週目、完!!

 

 

 

 

 

 

刑務所、マジで寒い。

こんな感じで検閲を通過した手紙に日記が書かれてます!


『収監第3週目』

 

『11月24日(木)』

 朝イチで控訴の手続きをする。願い事タイムで「あの、控訴したいです」と申し出た。書類を渡され、自分で記入するのだけど、弁護士には「ご自分でできる」と言われていたが、「起訴状に準じる」記載をしなければならず、そもそも起訴状をボクは持っていないのだ。(もちろん全くの準備不足で収監された為)なので、「罪状」の起訴状での表記すら分からず、焦りまくる。マジで弁護士、ツメが甘すぎだし説明不足も多い。人間性も心から信頼できない人たちだったのがとても悲しい。文句をここで言ってもしょうがないので刑務官に質問しながら書き上げ、控訴手続き完了!ふーーーー。

 13時に初めて室外運動場へ出る。週に2〜3回、刑務官から「運動どうする?」と訊かれるタイミングがあったのだが、メンタルをやられていた為「いいです」と断っていた。今日はやってみようと思い、「運動、やります」と答えた。「室外運動」というからには屋上とか、グラウンドのような場所で思いっ切り走ったりできるのかと思いきや、室外運動場も個室なのである。これまた6畳分くらいのスペースがあり、1面が鉄格子状で外気が入るように開けている。見える景色は東拘の中庭と建物の壁のみ。上を見上げるととりあえず空は見える。なんか近い雰囲気なのは、牧場の牛舎や豚舎がビルの8階くらいにずらーと並んでいて、その一室に入って体を動かす、という感じ。狭いのでその6畳くらいのスペースの壁際をグルグルとランニングする。豚舎で平面移動するモルモットのようである。30分。ただ、太陽の光を2週間ぶりに浴びた。気持ちいい!睡眠は、太陽の光を浴びてセロトニンが作られ、それを原料に睡眠物質ができ(メラトニン)、その濃度が増して眠気となる。セロトニンは「脳の指導者」とも呼ばれ、気分や感情を安定させる。ストレスに対する緩和作用もある為、朝日や太陽を浴びることは、精神的にも、睡眠にも不可欠なことなのだ。これからはなるべく天気の良い日は、室外運動場に出よう。あーあ、どこまでも思い切り走りたいな。そう思った。

 

『11月25日(金)』

 昨日までは判決の翌日(11/11)から14日間だった為、ここにいた日数分、「法定通算」として最終的な刑期に含まれることになるが、今日からは、控訴を取り下げたり、破棄された場合、一切通算されることはなくなる。つまり今日からの1日1日は「刑期にもならず、ムダに監禁されているだけ」な可能性もあるのだ。そう考えると気が滅入る....。

 今日も外運動に30分出た。晴れているか雨かで全く気分が違う。差し入れで女優さんの写真集が届く。馬場ふみか写真集と与田祐希写真集。色彩のない毎日に、ビジュアル本は助かる。可愛い女の子というだけじゃなく、海外などで撮影されたであろう海や街や建物や、昼間の太陽や夜の暗闇や、女性の肉体や笑顔や、そんなビジュアルの色彩全てが目に尊いのだ。精神的に病みそうなところを、グッと支えてくれるような気がする。ちなみに馬場さんも与田さんもとても可愛い。読書では官本で借りたマンガ版「剣客商売」がすごく面白い。池波正太郎の原作の雰囲気と人間味をとても上手くマンガに落とし込んでいる。全部読みたいが、なぜか1巻がない。官本リストに存在せず、2巻からになっている。なぜ...?それと、手紙を書けるようになったので毎日手紙を書いている。Mへの手紙を書き始めた。明日仕上げよう。

 

 📝Prisonメモ📝

  刑が確定すると、拘置所で勾留された日数の一部は刑期から差し引いて刑の終了日は計算される。これを「法的通算」という。控訴・上告期間(14日間)と、控訴・上告して原判決が破棄された場合、全勾留日数が刑期から差し引かれる。一方、控訴・上告自体が破棄された時は、一切カウントされない。

 

『11月26日(土)』

 朝から手紙を書きまくる。14時過ぎに書き終わる。11枚。ラジオではOfficial 髭男dismの〝Subtitle〟が何度も流れてくる。ボクには好きな人がいる。収監前、ドラマ「silent」を一緒に観ていた。4話まで観た。続きを一緒に観れるだろうか?観れるとしたら3年後?一緒に観たい。「全人生をかけても、ちゃんとくつがえさしててよ」という歌詞が胸に刺さるよ。

 

『11月27日(日)』

 夜にクリームパンを食べてしまって朝を迎えた。日曜日、休日モードで特にイベントごともなく、時間をもて余す。読む本も雑誌も乏しい。鬱になりそうだ。あ、もう鬱なんだ。夜のラジオは相撲からのW杯、日本VSコスタリカ戦。結局コスタリカに負けてテンションも上がらず...。やることもないので無意味に部屋の中をランニングしていたら60分も経っていた。腹筋も70回やった。開脚をガンバロウ!

 

『11月28日(月)』

 とにかく朝が寒い。いわゆるシャバではもうそろそろ暖房が入る頃だと思うが、ここは全くそんな素振りはない。暖房は使用しないで冬を越すのだろうか?警察の留置所ではエアコンが入っており、体感的には寒さは感じなかった。週の始まりで朝から願い事や風呂や差し入れの指印押しなどで慌ただしい。13時過ぎに親父が面会に来てくれる。とてもありがたいのだけど、なぜかお互いにイライラして言葉が荒くなってしまう。住んでいたマンションの電気・ガス・水道は解約できたよう、よかった。こういう細かいことが、準備もせずこうなってしまったことでとても苦労させられる。住所変更も、転送届も、様々な契約の解約なども全く何もやれないままココに居る。今回、そのことが最もツラい。仕事をさせてもらっていた恩人のディレクターにも、まだ連絡すら取れていない。風呂の際、ここに来て初めて体重を測った(イヤ、入所の時に測ったが自分では覚えていない)74.9kg。80kgはあったはずだから、−5kg。痩せたと思う。Mに手紙を出した。真実は何も言っておらず、そのまま姿を消す形になってしまった。本当の事を11枚の便箋に書いて、発信した。届きますように、そして、伝わりますように。

 

 📝Prisonメモ📝

 以前は東北地方より北でなければ暖房は許されなかった。例えば、長野刑務所は東北より南なので、冬でも暖房は入らず、通気孔から雪が吹き込んできたという噂もある。ただ、近年では受刑者に対する人権が尊重されるようになり、暖房の面では地域に関係なく平等に配偶されるようになった....らしい。笑

 

 

 

 

 

 

 

 

刑務所ルールは難しい。

『1月22日(火)』

 よーーーやく日用品が来た!!!ノート・便箋・ペン・封筒....。文房具の他にも、シャンプー&リンス・綿棒・ミルククリームなど、化粧品類も届いた。風呂に入っても石けんで髪を洗っていたのでシャンプーは嬉しい!!化粧水などもなく、洗顔(これもフツーの石けんでやる)後は何もケア出来ていなかったので顔面はバキバキになっていたのだ。「ウテナミルククリーム」をたっぷり付けよう。そして手紙も書ける!!!入所して12日、これらのモノが何もなかったのはツラかった。元はと言えば全てあの弁護士のせいだ...という文句はグッと堪えて、大量に届いた品々を眺める。 

 11時過ぎ、そのO弁護士が面会に、2回目の来所。11月24日に控訴を自分ですることになった。ハッキリ言って弁護士はボクのことをバッサリと切りにかかっている。もう関わりたくないオーラがビンビンに伝わってくる。1年以上、裁判を戦ってきて、これか....今回の事件で、この弁護士の大失敗とその後の態度の手のひら返しが最もダメージが大きい。ショックでウマく言葉が出て来なかった。これ、訴えたら賠償金くらい取れるのではないだろうか?その後、すぐに親父も面会に来てくれた。なかなか会話がうまくいかず、イライラしてしまう...。反省。拘束されたリュックに入れていたMからの手紙が検閲を終えて数日前に届いたのだが、それを毎日読んで元気をもらう。手紙の言葉はいいね。彼女は待っていてくれるだろうか?この状況がちゃんと伝わるだろうか?Aさん、頼んだよ。弁護士にはガッカリだが、そう考えるとボクには支えてくれる人がいる。それだけが今、前向きになれる。唯一の希望の光だ。親父、Aさん、福祉士のYさん、ありがとうございます。

 

『11月23日(水)』

 今日は勤労感謝の日、祝日モード。今まで、持ってきたリュックに入ってた明細書などの紙切れの裏などに官で借りたボールペンで認めていた日記を「ノート」に書けるようになった!!今までの日記もノートに書き写すことに。それから、昨日の差し入れで入ってきた週間プレイボーイが嬉しい。ヤバいね、普通にグラビアの女の子を見てるだけでホッとして涙が出そうになる。それから、雑多な記事を読んでいるのも気が紛れていい。やっと手紙が書けるようになったので今日はずっと手紙を書いて過ごす。

 さて、明日は控訴の手続きだ。何で弁護士がいるのに自分でするんだ?

 

 📝Prisonメモ📝

 日本は「三審制」といって、ひとつの事件につき、3回まで裁判を受けられる。1回目の裁判に不服がある際は2回目の裁判を請求でき、この要求を「控訴」という。ちなみに2回目にも納得できない場合、3回目を要求することは「上告」と呼ぶ。

 1回目「地方裁判所」→2回目「高等裁判所」→3回目「最高裁判所」となり、判決の翌日から〝14日以内〟に控訴・上告しないと、判決は確定してしまう。

 

 

未決囚は寝てばっかり。

『11月19日』

 2度目の土曜日。土日祝は、面会や願い事、風呂や外運動などのイベント事がないため、シンと静かに進行する。その代わり、ラジオの放送時間が平日より長い。

 朝9時からNHK -FMの「世界の快適音楽セレクション」は、昔大好きだったギターインストドゥオのゴンチチがパーソナリティ。ゴンチチ、好きだったなぁ。90年代のネオ・アコースティックブームを思い出す。遊佐未森など、バンドブームの昔とは真逆の音楽も静かに流行っていた。そんな昔を思い出すサウンドに少し癒される。

 

 ここにきて。1日の過ごし方の流れができてきた。

  7時,起床→点検(布団は畳んで正座で待つ)→7時10,朝食(「配当!」と放送が入る)→願い事(平日のみ)→8時30,過ぎ風呂(月・水・金)→外運動(週3ぐらい)→11時40分,昼食→12時15分,午睡(布団を敷いて寝てもOKな時間)→14時45,室内運動(放送が流れる)→16時,夕食→16時30,点検→17時,仮就寝(布団敷いてもOK)→21時,消灯・就寝

21時から7時まで10時間も寝ることになる!!脳がとろけるんじゃないか?その他、「午睡」と呼ばれる昼寝ができる時間や、ぶっちゃけ17時以降も寝ることが可能1日16時間30分も寝られるって何??なるべく読書をしたり、勉強したり、体を動かしていこうと思う。差し入れの「チョコパイ」が最高!9個入りだが、1日で既に残り4個。部屋でのランニング55分・腹筋30回・ストレッチして開脚180°を目指そうと決意した。

 

 Prisonメモ📝

塀の中は規則正しい生活が待っている。1日のタイムスケジュールは毎日、同じことの繰り返しである。ことに「未決囚」は作業もなく、自由時間だらけだ。(監禁状態ではあるが)

 

『11月20日』

 朝食後、昼飯(11時40分)までの4時間の過ごし方がツラい。この時間は横になるのはNGなのでイスに座り、机に突っ伏してウトウトするが、学生が授業中に居眠りする格好で、全く眠れない。夜、起きてしまうので、午前中のこの4時間が1番眠いのに....。昼食後、12時15分に消灯され、「午睡」という布団を敷いてもOKな時間になるのだが、午後になると目が覚めてしまっているし、この日曜はラジオで「のど自慢」が放送され、それがまあ、ウルサイの何の笑。室内でランニング運動でもしたいが、刑務官に注意されるのであまり運動もできない。囚人は運動するのも自由にはできず、「この時間は運動してよし!」と号令があった時間だけ許されるのだ。通常9時45〜の15分と14時45〜の15分、1日30分のみである。

 食生活か?少ない時間でも毎日トレーニングした効果なのか?かなり痩せたように感じる。ここに来る前は80キロあったはず。今、何キロなんだろう?購入した牛乳と野菜ジュースが初めてやってきて飲んだ。うまい!!

 

『11月21日』

 起床して朝飯。なんだか平日より、土日の方が起床時間が遅いような気がする。時計を見れないので正確には分からないが、平日7時起床に対して土日は7時30とかなのかな?今日は8時30に風呂。やはり風呂はいい。寒さも和らぐし。

 風呂上がり、ホクホクしていたら突然「部屋の移動」と言われる。●棟から▲棟へ。支給されている黒いキャリーケースに私物を入れ、今まで使っていた布団もまとめてでかい台車に乗せ、棟を移動した。今まではベットの部屋だったが、今度はいわゆる独居房、といったタタミ〝風〟な部屋だ。なぜタタミ風かというと、本物のタタミではなく、ビニール製のフェイク畳なのだ。広さは全部で4畳ほど、3畳分がタタミ〝風〟で、残り1畳分は板の間となっていてむき出しのトイレと洗面台が設置されている。他に、食器や私物を置く棚やバケツ、タライなども置いてある。このバケツ・タライは、21時の就寝後はトイレや洗面台の水を流してはNGであり(騒音的な問題)、このバケツ・タライに事前に水を入れておき、用を足したりした際には、その水で流す...という決まりがある。手を洗うのもタライの水で行う。新部屋は、前のベットの部屋より全体的にキタなく、少し嫌になる。タライの裏などは、びっしりカビが生えていて吐きそうになった...。部屋を掃除してみた。面会は誰も来ず、淋しい。室内運動時間は主にランニングをする。その場で足踏みランである。タタミ風の方が、足への負担が少なく、そこだけは◯。ふぅ...。

 

 Prisonメモ📝

独居房は文字通り、一人部屋。4畳ほどの部屋に、トイレや洗面台、小机、私物用の棚などが備え付けられている。

 

 

 

 

 

極限のメンタル、、耐えろボク

収監2週間目

『11月17日』

 東拘へ来て1週間目。安定剤クエチアピンのおかげか?なんとか精神は前向きに保たれている。朝イチで親父よりトレーナーなど衣類の差し入れ。スウェット1着で1週間過ごしてきたので助かった!そろそろ脇が臭い...。昼飯後の歯磨き中にAさんからお菓子の差し入れ!昨日入れてくれたようで、涙が出るほど嬉しい。親父からの本の差し入れもあり、差し入れDay。このように差し入れも検閲があるのか、タイムラグがあって遅れてやってくる。 

 

拘置所で生活する上で使うものには支給される「官物」と、購入した物や差し入れされた「私物」に分けられる。

ボクのような「未決」拘留者は、かなり自由が許され、食品なども購入したり差し入れたりがOK。ただし、何でも自由なワケじゃない。

購入は、購入可能な曜日にリストから選んで、領置金という持参金の範囲で買う。差し入れも拘置所指定の売店で買った商品のみ許されるという仕組みだ。

 

 そうそう、待ちに待った「日用品」の購入日だったので申請する。なんかマークシート方式で、何十年か前の受験生時代を思い出す。早く手紙を書きたい。

 

 15時45分ついにO弁護士が面会に。状況説明から入り、事務的に経緯の説明。完全に控訴に後ろ向き。「保釈されるので」のやらかしについては最後まで、謝罪はもちろんのこと、一切の言及なし!こいつマジか??誠意というか人間性を疑ってしまう。弁護士なんてこんなモノか。こんな奴らが先生か?後ろめたい内心が伝わってきてるよ、先生。なるべく冷静に、怒らずにやり切ったオレ偉い。精神的にヤラレたので、部屋で走りまくって50分。腹筋も50回、腕立て25回やって汗をかいた。さらに臭くなった。

 

『11月18日』

 朝イチは点検から始まり、すぐに朝食、その後、平日は「願い事」という希望する事を刑務官に願い出る時間がある。これかなり大切で、例えば、部屋のトイレットペーパーが無くなったら官物のチリ紙をもらうのだが、この願い事のタイミングで申請しないと怒られる。ちなみに土日祝は願い事タイムがない為、チリ紙は休日前は絶対にもらっておかなければ〝大〟の際、地獄を見ることになる。なんかチリ紙も買えるらしいが、もらえるのに何で買うんだろう?今日は金曜日なので願い事で「チリ紙お願いします」と申請。ちなみにコレ、言い方も「ちりがみ」ではなく「ちりし」と発音する。業界用語である。

 

 金曜なので風呂に入り、親父からの差し入れの新品のスウェットを着る。気持ちいい!!!

Aさんからノート3冊とタオル、本も3冊差し入れが届く。昨日来てくれたのにタイムラグがすごいな。本はなぜか「ムー」「囲碁、将棋入力」はどうしろというのか?個室なんですけど。でも気持ちが嬉しい!ありがたい。自腹購入した明治ミルクチョコが来て、すぐに食べる。旨い....。しみる。

 親父が差し入れてくれた古市憲寿さん著「絶対に挫折しない日本史」を読み始めた。なかなか面白い。サピエンス会史に影響を受けた日本史論といった感じ。

 連絡を取りたい人への伝達をAさんに頼んでいるけど、AさんはMに会えただろうか?気が気じゃない。考えると落ち込むのでカラダを動かして紛らわせる。部屋で足踏みランニング40分、腹筋30回、腕立て50回で汗をかく。あぁ、明日から3日、風呂ないのか....。